建築知識編集部が実施した読者アンケートから、建材・設備のトレンドを探ります。
日々設計・施工に携わる方々の生の声ならではの、リアルなデータが満載です。建材・設備選びで迷った際にもご活用ください!
読者260人アンケート
今月も前号に引き続き、「建築物の耐久性向上」について聞いた読者アンケートの結果から、サイディング、押出し成形板、タイルなどの「窯業系外壁材」に関するデータをピックアップする。
凍害が話題となることも少なくない窯業系外壁材だが、アンケート結果からは、凍害対策の強化を望む回答は少なかった。これは、耐凍害性の強化が着実に進んでいることの表れとも考えられる。また、耐久性の向上に対する要望も一般的な平均値であった。
一方、デザインに対しては、そのさらなる充実を求める声が圧倒的に多かった。ここで求められるデザイン性とは何かを把握することが、今後窯業系外壁材の新製品を開発する際のキーとなってきそうだ。
採用実績のあるメーカーでは、ニチハとクボタ松下電工外装が抜きん出ている[図1]。
耐久性の向上は、省エネ化と並んで関心の高いテーマだが[図2]、外壁材においては平均的な関心度だ[図3]。むしろ窯業系外壁材では、後述するように、製品・メーカーの選定ポイントも、今後の要望も、デザインに対する関心が圧倒的に高い[図5・8]。性能よりも、デザインで製品が選ばれている傾向が明白となった。
[図4]
性能、そして意匠性が重視される建材だけに、製品レベルで指定する傾向が強い。むしろ「指定しない」率は、屋根材の約半分と低くなっている。
[図5]
「デザイン」の回答率が突出しており、意匠性が最も重視される建材であることが顕著だ。「テクスチュア」が2位となっているのも、同様の傾向からであろう。
[図6~7]
本年のJISの改正で、窯業系外壁材の最小厚さが12から14に変更されたが、厚さの主流はすでに15、16に移行していることが分かる。
1㎡当たりの材料単価は、2,000円超~6,000円以下で全体の約3/4を占める。一方、8,000円を中心とした価格帯もある程度の割合となっており、一部高額品が動いていることもうかがえる。
[図8]
窯業系外壁材への要望としては、上位4項目までが採用決定時に重視する点と同じで、やはり意匠面の一層の充実が強く求められている。反面、他建材では要望として高率になることが多い「コスト」の回答率がそれほど高くない。ほかの外壁材と比べ、窯業系外壁材はコスト面で優位にあるといえそうだ。