「物事の本質」を目減りなく伝える手法としての3次元

建築設備施工図CAD「DesignDraft」で知られるシスプロは、設備工事大手企業の一部門を起源とするCADベンダーである。この大手企業の時代を含めると同社は20年以上のCAD開発の歴史を持つが、特筆すべきはそのスタート時点から3次元に取り組んできた点だ。当時を知る本田礼之氏は語る。
「その背景には、物事を本質で捉えることを重視する当社の姿勢があります。そして建物でも設備でも、その本質となる情報を目減りなく伝える最も合理的な手法として、私たちは3次元を選んだのです」。この「本質を伝える手法としての3次元」という思想は同社のCAD開発の基本姿勢として連綿と受け継がれ、幾多の製品が生み出されてきた。
「現実をそのまま3D化するリアル3Dの製品化はもちろん、他方ではイメージ3Dというアプローチで、建築設備分野で不可欠の施工図作成に重点を置く製品も開発しました。それがDesignDraftです」。DesignDraftは、図面を書けばその裏で自動的に3次元もでき上がる、いわば2次元を入口にした3次元設備CAD。生成される3次元モデルも現実そのままでなく、グラフィックスとしての見やすさを重視し、精度も取り合いなどで使えるレベルに抑えて扱いやすくしている。
「最新のDesignDraft V3.1は作図機能を充実させ、より高速で作図できるのが特徴です。データ互換も強化し、特にAutoCADデータはネイティブで読み込み、図面構成まで利用できます。これらは2次元重視の姿勢に見えますが、私たちの狙いは逆。作図には時間をかけず3次元モデルの作成にこそ力を注いでほしい。だからこそ作図機能を充実させたのです。リアル3Dとアプローチは反対ですが、行き着くところは同じ。本質的な情報の集合体としての3次元モデルなのです」
ゆりかごから墓場まで「本質」をトータルに生かす

こうした多角的アプローチにより、同社が一貫して取り組んでいるのは、「本質を伝える手法としての3次元」の確立である。つまり「世界の写し絵」ともいうべき「本質の集合体」がそこに構築されることになる。
「裏返せばそこから図面を切り出し活用するのがCADです。しかしそれは企画設計と施工フェーズでの利用に限られます。世界の写し絵というべき3次元モデルなのに、それだけではもったいないですよね。できれば竣工後の維持管理やその後の廃棄フェーズでも利用したい、そう考えたのです」(本田氏)。ここで例に挙げられたのが、ビル設備の維持管理の中心となる中央監視システムやファシリティマネジメント分野への応用である。この問題に詳しい田中裕氏は語る。
「例えば、ビル全体の空調の制御には、空調全体の仕組みを簡略化した系統図によるシステムが使われます。しかし実際に空調に問題が起こったとき、系統図ではその場所が具体的にどこなのか把握するのは困難です。系統図と3次元モデルを連携できれば、専門家でなくてもすぐ場所が判別できるでしょう」。3Dエンジニアリング事業も展開する同社では、すでに中央制御システムやファシリティマネジメントでの3次元モデルの活用にも取り組んでおり、建築からプラント、製造など、幅広い分野で成果をあげ始めている。同社はCAD以外にもVRや設備維持管理システムFManagerなど多彩な製品を展開しているが、これらもいずれ"本質を持つ3次元モデル"を多彩な切り口で利用するためのツールとなり、インターフェイスとなるのである。
「建物のライフサイクルにわたりトータルに活用できる本質的な3次元が私たちの目標です。いわば"ゆりかごから墓場まで"を目指す当社の挑戦にご注目ください」(本田氏)