「Revit Architecture 2009」は、BIM(Building Information Modeling)という概念に基づいた3次元設計ツール。BIMは、設計から施工まで建物のライフサイクルにおいて、整合性、一貫性のある情報を作成し、使用することを指す。Revit Architectureを使用すると、3次元モデルから、平面図や立面図の図面情報を取り出すことが可能で、3次元モデルと図面は常に整合性が確保できる。
3次元モデルから、面積情報の抽出も可能で、オブジェクトの属性情報を利用すれば、積算や法規チェックなどを行うことも可能だ。 設計者が図面の作成や修正作業にとらわれることなく、設計に集中できるツールとして注目を集めている。
3次元モデルを操作することで自由自在にデザインできる Revit Architectureのモデリングには、2次元図面を作図する感覚で容易に3次元モデルを作成する方法と、「マスモデル」というスタイロフォーム模型のようなモデルに、壁や床、カーテンウォールなどの建築要素を貼り付けていく2つの方法がある。
最新版では、マスモデルを作成するためのモデリング機能に「スイープブレンド」機能が追加され、より柔軟なモデリングが可能となった。これは、異なる2つの断面形状を任意のパスで結んで形状を作成する機能であり、入口と出口の形状が異なるトンネルや、有機的にねじれながら伸びていくタワー形状を作成する際に有効だ。
ユーザーが設定したレベル(階高)に床を作成する「マス床」機能では、新バージョンから各階別に床面積を集計できるようになった。これによりコンセプトモデルの段階で、デザイン検討と面積調整が同時に行える。コンセプトモデルのファサードデザインぐらいであれば、30分程度で作成できるため、即効性の高い提案が可能となる。
●マスモデルで素早いデザイン検討が可能

高層ビルのコンセプトモデルを表現した「マスモデル」。「マス床」から各階の床面積が集計できる。デザイン検討と面積調整が同時並行で行える。マスに壁、床、カーテンウォールを貼、ファサードデザインも可能
●柔軟なモデリング機能を搭載

モデリング機能「スイープブレンド」を使うと、断面形状がねじれているような複雑な3次元曲面も作成できる。設計段階でいろいろな提案が可能になった
レンダリングエンジンがmental rayに変更 今回のバージョンアップの目玉といえるのが、オートデスクの3次元CGソフト「Auotdesk 3ds Max」や、3次元CAD「AutoCAD」に実装されているレンダリングエンジン「mental ray」が採用されたことだ。mental rayの設定項目はシンプルにまとめられており使いやすく、レンダリングスピードも高速である。「マテリアルライブラリ」と「樹木ライブラリ」が一新され、実用的な素材も増えた。
背景も太陽高度や実際の日時に合わせて表現できるため、時刻を夕方に設定すれば、夕焼けなども簡単に再現できる。太陽光が室内に差し込むといったシーンは、CGソフトでも設定が難しいが、[照明]の[スキーム]設定を「内部:太陽のみ」にするだけで表現可能だ。
3ds Maxとの連携も強化され、Revit Architectureで作成したモデルを「FBX形式」で保存すれば、3ds
Maxに、カメラ、照明、マテリアルなどの設定をそのまま取り込むことができる。アニメーションや高品質なパースが必要な場合は、3ds
Maxとスムーズに連携できるので効率的だ。
●マテリアルや素材のライブラリが一新

(左)マテリアルのサムネイル表示では、マテリアルの表現に適切なシーン(球やカーテンウォールなど)のプレビューが表示される
(右)樹木ライブラリ。樹木の柔らかな表現の素材が増え、利用しやすい
●レンダリングエンジン「mental ray」を搭載

外観パース(左)と内観パース(中央)。ほかのCGソフトでは、レンダリング時の光の設定などが複雑だが、Revit Architectureでは、日時/緯度などを入力するだけでその日時/場所の太陽の位置を再現でき、精度の高いCGパースが作成できる
レンダリングの設定ダイアログ(右)。操作が簡単で、使いやすい。基本的には、「品質」「出力」「照明」の3つの設定だけである程度の表現はカバーできる。従来、レンダリング後にレタッチソフトなどを利用して調整していた「露出の調整」もRevit Architecture上で設定できる
リンク図面の連携機能強化、製図表現関連機能も向上 Revit Architectureは1つのファイルを複数ユーザーが同時に追加修正していく「ワークセット」機能と、AutoCADの外部参照のような「リンク」機能が利用できるため、分担作業ができる。前バージョンまでは、リンクした図面の「ビュー」設定(線の種類や色、タグや文字、寸法、表示情報など)を、「平面ビュー」以外は継承できなかったが、「立面ビュー」「3Dビュー」にも対応し、リンクファイルの取り扱いが非常に楽になったといえる。 作図表現の幅が広がった点も見逃せない。
「寸法」の機能では「寸法文字」が追加され、寸法を「幅」などの代替文字に置き換えたり、寸法値の前後に「CH=2400」や「有効」といった文字を追加できるようになった。また「タグ」機能が向上し、1つの「ラベル」に2つ以上の「パラメータ」を設定できるため、店舗や事務所の区画ごとに番号を併記するときに重宝する。
Revit Architectureは、整合性を確保しながらデザイン提案ができる設計者のためのプロフェッショナルツールといえるだろう。
●Google Earthとの連携機能を搭載

年間保守契約「サブスクリプション」加入ユーザーは、Google Earthとの連携機能が搭載されており、周辺環境との検討も手軽に行える
価格●758,100円(スタンドアロン)
問合せ●オートデスク
TEL●0570-064-787
URL●http://www.autodesk.co.jp/revit
動作環境(推奨要件) ●
OS...Windows XP Pro(SP2以降)/ XP Pro(x64Edition)
CPU...Intel Core 2 Duo 2.40GHz、または同等のAMDプロセッサ
メモリ...4GB
グラフィックスカード...OpenGL spec 1.3 以降および DirectX 9 以降をサポートするグラフィックスカード