土木現場用カメラといえば、堅牢なボディ、防塵/防水設計や高感度な撮影機能が不可欠だが、それなりの重量や大きさを持ったカメラが主流だった。オリンパスの「μ770SW工事キット」は、ポケットに入るコンパクトなボディに現場向けの機能を詰め込んだ工事用デジタルカメラだ。ここでは、三井住友建設がシールド工法で施工中の下水管新設工事にμ770SW工事キットを持ち込んで試用してもらった。
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| (写真左から)三井住友建設 東京土木支店 千鳥シールド作業所 副所長・本田和明氏と土木係・内野裕士氏[画像クリックで拡大] |
本現場が採用するシールド工法とは、シールドマシンと呼ばれる掘削機でトンネルを掘削する工法のことだ。シールドマシンは円筒を横に倒した形状で、すべて現場に合わせたオーダーメイド製。マシン先端のカッターディスクが回転して土や岩盤を切削し、後部のジャッキの推進力がマシンを前進させる。シールドマシン内部では、トンネルの壁面となる特殊鋼製のセグメントが組み上げられていく。
つまり、シールドマシンが進むと、その後ろにトンネルができ上がっていくわけだ。今回の現場には、2個所の急曲線、環状8号線や東急多摩川線といった道路/鉄道の下にトンネルを通す下越しなど、高い施工技術が必要ないくつかの難所がある。
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工事件名●大田区千鳥一丁目、下丸子二丁目付近枝線その2工事
発注者●東京都下水道局
施工者●三井住友建設株式会社
工期●2007年3月~2008年2月(契約工期)
工事場所●東京都大田区千鳥3、下丸子1、2、4、鵜の木2丁目
工事概要●大田区千鳥、久が原、下丸子付近の浸水を軽減するための下水管新設工事。大田区千鳥2丁目の大田区立つきやま公園を発進立坑とする全長1.3kmの泥土圧式シールド工事

| 千鳥シールド作業所[画像クリックで拡大] |
千鳥シールド作業所から撮影をスタートする。ここには、トンネル内に降りていく立坑(たてこう)のほか、掘削された土砂の集まる土砂ピット、トラックを停めるスペースなどがある。まずは、現場での撮影ミスを防ぐために、カメラの設定を確認しておく。
工事現場での撮影に備える
●初期設定を確認する
国土交通省「デジタル写真管理情報基準(案)」が推奨する有効画素数は100万画素程度だ。μ770SW工事キットは、推奨サイズ相当の1280×960が起動時の初期設定になっているので、必要以上に大きなサイズで撮影してしまう、という失敗を防止できる。また同時に起動する「ぶれ軽減モード」が、ISO感度を1600まで上げることで、夜間や屋内などの光量の少ない工事現場での手ぶれを軽減してくれる。
●カメラは胸ポケットへ
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現場内は狭い階段や通路が多いため、首から下げたカメラを手すりなどにぶつけてしまうことがある。μ770SW工事キットはコンパクトサイズなので、首から下げて胸ポケットへ入れておき、必要な時にさっと出して撮影することができる。
●軍手での操作にはシリコンジャケットを装着
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工事現場の技術者は安全のために軍手をして作業している。ステンレス製のカメラのボディは、軍手をはめた手には滑りやすい場合がある。そんな現場特有の悩みを考慮して、μ770SW工事キットにはシリコンジャケットが付いている。内野氏も普段の撮影ではシリコンジャケットを装着して使用している。着脱は簡単で、装着時には操作ボタンが大きく押しやすくなるというメリットもある。

| 千鳥シールド作業所内で土砂ピット全景を撮影[画像クリックで拡大] |
千鳥シールド作業所内で土砂ピット全景を撮影する。ここは地上ながら、トラックが出入りする入口のシャッターを閉めると、光源は水銀灯のみ。ある程度の明るさはあるが、光源の影響で写真の色合いが実物とは異なってしまう。
「ワンタッチホワイトバランス」を使う
| ホワイトバランスを登録しているところ。内野氏がいつも携帯している野帳の白紙ページを利用した[画像クリックで拡大] |
ワンタッチホワイトバランスは、撮影する光源下で白い紙などをカメラに向けてホワイトバランスを測定することにより、その撮影状況に合ったホワイトバランスをカメラに記憶させる機能だ。ホワイトバランスは3つまで登録が可能。オートホワイトバランス、もしくはあらかじめカメラの設定にあるプリセットホワイトバランスでは調整しきれない特殊な照明下での撮影には、ぜひ活用したい機能だ。
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オートホワイトバランスを使用して撮影した例。水銀灯の影響で写真全体が緑かぶりしてしまった。水銀灯は、写真が緑かぶりしやすい照明の一つである。
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770SW工事キットの「ワンタッチホワイトバランス」を使用して撮影した例。ワンタッチホワイトバランスを設定して撮影し直すと、自然な色合いになった。

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| 地下15mの坑内からさらにトンネル内部へ[画像クリックで拡大] |
作業所内からトンネルの発進部まで、立坑を階段で降りる。地下15mの坑内からさらにトンネル内部へ進む。
トンネルの内壁は、シールドマシンで組み上げられたセグメントで覆われ、5分割されたセグメントで1円周が構成される。セグメントの幅はトンネルの径や形状によって異なる。急カーブ(15R)を描く急曲線部分は、幅の狭いセグメントが使われており、施工に技術を要する個所。左右に蛍光灯が設置されているが、光量の足りない暗い現場だ。
| 急カーブを描く急曲線部分[画像クリックで拡大] |
「工事写真クリアモード」を使う
μ770SW工事キットには、工事現場専用の撮影モード「工事写真クリアモード1(最大ISO感度1600)」と「工事写真クリアモード2(最大ISO感度2500)」がある。フラッシュを発光禁止にすることで、ほこりなどの浮遊物の写り込みや、黒板の白飛びを防ぐ。フラッシュを使わないことで起きる可能性が高い手ぶれは、ISO感度を上げることで解決できる。撮影環境の光量でどちらかを選択するとよいだろう。本現場では、「クリアモード1」で十分に明るい写真を撮ることができた。
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ノーマルモード/フラッシュを使用して撮影した例。フラッシュを使うと、黒板より後ろのトンネル内部には光が届いていないことがわかる。
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ノーマルモード/フラッシュ発光禁止で撮影した例。感度が足りず、手ぶれを起こしている。
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「工事写真クリアモード1」を使用して撮影した例。黒板はもちろん、トンネル内部までくっきりと撮れた。



