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CAD・PC製品レビュー

工事用デジタルカメラの必須条件は防水/防塵/耐衝撃性だ。それらの機能を備えながらも胸ポケットに携帯できるコンパクトでスタイリッシュなタイプが主流になりつつある。本特集では、ハードな現場での使用に耐えるデジタルカメラの選び方と、建築と土木、2つの現場で試した最新機種の実力を紹介する。


PART01●過酷な建築/土木現場で頼れる工事用デジタルカメラの選び方

土木分野では地中に埋まってしまう構造物が多く、施工後は状態を確認できないことから、昔から写真による工事管理が一般的で、デジタルカメラによる写真管理への取り組みも、すでに10年が経過しようとしている。片や建築分野では最近、にわかに写真による管理が活発になっている。耐震偽装問題から後、施主からの要望はもちろん、施工会社や管理会社が施工内容を証明するための防衛手段として、自社内での品質管理手法の一つとして、デジタルカメラの本格活用が始まっている。
工事用デジタルカメラもいよいよ1,000万画素時代に突入した。一方、世間の例外でなく工事写真の偽装問題も発覚し、撮影後の画質や明るさ変更すらできなくなった。このような時代に頼りになる工事用デジタルカメラ選びのポイントをまとめた。


point 01常に携帯できること
現場の状況は刻々と変わる。常に持ち歩いて一瞬の機会も逃すな

土木では写真撮影がコンクリート打設前の儀式のようなもので、職人さんも撮影を待ってくれたりもするが、建築の場合は現場の変化が早く、必要な写真の撮影タイミングがほんの数時間しかないこともざらだ。常にデジタルカメラを持ち歩き、通りかかったときにすぐに撮れる携帯性は非常に重要なポイントだ。現場では狭い支保工や資材の間をすり抜ける必要もあり、首から大型のカメラをぶら下げるのは時に命取りになる。サイズ/重量とも胸ポケットに入れられる程度の小型軽量な機種がほしい。


携帯電話にも高画素のカメラが内蔵されるようになっており、実際、現場でも利用されている。しかし、ズームや広角がなかったり、フラッシュが付いていない機種もあって、せっかく撮影した写真が使い物にならないことも多い。一瞬の撮影チャンスを逃さないためにも小型軽量のデジタルカメラ専用機を選びたい。


point 02広角に対応していること
建物全景から室内全景、細部構造まで幅広く対応したズームレンズ

図1
焦点距離と画角の関係[画像クリックで拡大]

「○倍ズーム」とズーム量を誇示したデジタルカメラのカタログや広告をよく見かける。このズームとは広角と望遠の比であり、35mmと105mmならば3倍ズームということになる。


現場で必要なのはズーム量よりも広角だ。28mmはほしい。35mmと比べ、28mmがどのくらい広く写るかというと、35mmでは画角が約54度、28mmで約65度(35mmフィルム換算)。例えば10m幅の被写体を撮影しようとすると、28mmで約7.8m下がるところを、35mmだと約9.8mと2m近く余計に下がらなくてはならない(図)。屋外ならばいくらでも下がって撮影すればよいが、現場では足場が限られ、下がると危険な場合すらある。広角への対応は工事用デジタルカメラの重要なチェック項目だ。


point 03設定が簡単確実なこと
レタッチ不可の現場撮影は一発勝負。最適設定で撮影してすぐに確認が基本

電子納品はもちろん、全景や状況写真でさえも現場は時々刻々変化し続けており、施工写真は撮り直しが効かない。一度撮った写真は明るさやサイズの変更すらできない。1,000万画素にもなるとファイルサイズが大きく、閲覧にも時間がかかるので、現場の撮影では100万画素程度を選択するケースが多い。だが、現場の全景写真や大きく引き伸ばしたいときは1,000万画素が威力を発揮する。とすると100万画素と1,000万画素を簡単に切り替えられる操作性も重要だ。特に電源を切った後、急いで撮りたい場合に設定を忘れやすい。確実に設定を確認できる機種が望ましい。


液晶モニタの見やすさも大切。撮った写真をすぐに確認できることがデジタルカメラのメリットの一つだが、せっかくの特徴も液晶モニタが見にくければ意味がない。液晶モニタの視認性は、太陽の下など明るい場所で良し悪しがはっきりわかる。


point 04頑丈で保証も厚いこと
"転ばぬ先の杖"の防水/防塵、耐衝撃性能、故障時のサポートは充実しているか

工事用カメラではすでに当たり前だが、防水/防塵機能は外せないポイント。雨だから撮影しなくてよいわけではないし、砂や泥、コンクリートをかぶったりと電子機器にとって、工事現場はとてつもなく過酷な環境だ。撮影時は周囲が見えていないことも多く、資材につまずいたり、ぬかるみに足を取られて姿勢を崩すこともある。カメラを持った手で咄嗟に手すりをつかんだり、手をつくこともあるから耐衝撃性能は見過ごせない。


カメラをかばって怪我をしては何もならないが、カメラが壊れればやはり悔やまれる。通常、メーカー保証は通常の使用に限られるため、実費修理になるが、販売店が独自に保険に入っていて購入時にポイントから差し引いたり、メーカーが独自に保険会社と契約し、購入時に登録するだけで利用できるケースもある。購入前にぜひチェックしておきたい。


point 05編集できないデジカメであること
Exif情報では原本保証できない。暗号化技術「フィンガープリント」で証明する

図2
フィンガープリントによる原本保証の方法。撮影と同時にデジタルカメラに内蔵された秘密の鍵を使ってその写真のフィンガープリントを作成し、Exif内部に記録する。編集した写真から同じ秘密の鍵を使ってフィンガープリントを作成すると、Exif内部のフィンガープリントと異なることから、撮影後に何らかの加工が行われたことがわかる[画像クリックで拡大]

デジタル写真は必要な部分だけを切り取ったり、明るさを補正したり、手軽に編集できることが大きなメリットで、画像編集ソフトもパソコンの能力向上とともにどんどん使いやすくなっている。半面、不正な編集(改ざん)による工事写真の不具合隠しが問題になるなど、「とりあえず高画質で撮影しておいて後で提出用にまとめて画質を落とす」時代は終わり、今や「編集不可」が原則だ。


発注者側も偽装を見破るために「Exif(Exchangeable Image File Format:エグジフ)」という写真データに書き込まれる日付情報とMS-DOSの記録媒体のファイルの属性として残る日付情報をチェックする動きもある。しかし、ファイルサーバに転送したり、CD-Rにバックアップしたデータをパソコンにコピーすると、MS-DOSの日付が変わってしまったり、Exif情報をソフトウェアが勝手に書き換えたり、カメラの日付の設定し忘れなど、一切編集していないのに、編集を疑われるトラブルも起きている。


Exifやファイルの日付は誰でも自由に書き換えられるので、原本保証にまったく無意味なのはいわば常識だが、現場担当者の苦肉の策ともいえるこれらの手法は、電子納品の現場で笑い話では済まない深刻な問題になっている。インターネットなど情報システムの世界では、通称「フィンガープリント(指紋)」といわれる暗号化技術を使った簡単かつ高速な原本保証方式が一般的に使われており、この方法がデジタルカメラにも採用され始めている(図2)。この方法はごくまれに(天文学的数字で)異なるデータを同一とみなす可能性があるが、同一のデータを違うとみなす可能性は皆無。あらぬ疑いをかけられぬようぜひ活用したいものだ。

PART1執筆●佐藤郁(戸田建設アーバンルネッサンス部)
取材・文●エクスナレッジ広告部/撮影●谷本夏(スタジオトラック72)


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