

床暖房のムクフローリングは、繰り返される加熱によって表面割れや隙、反り、ねじれなどが生じるため、「変形を受け入れられる建築主」でなければ使えないものであった。しかし昨今、加熱による変形を抑えた「床暖房対応ムクフローリング」のラインナップが充実してきている。ムク材である限り伸縮しないとはいえないまでも、多くの場合、使用に支障はなく、気にもならないレベルである。以下に、床暖房対応ムクフローリングの性能や品質について、押さえておきたいポイントをまとめたので参考にされたい。
1|樹種
ムクフローリングには、表面強度のある広葉樹が用いられることが多い[写真1]。床暖房対応の観点からも、水分の吸放出が比較的多い針葉樹よりも広葉樹のほうが適しているとされている。しかし、最近ではヒノキやアカマツなどでも、高い乾燥技術により、安定した製品が出てきている[写真2]。
写真1(左):ヨーロピアンビーチの施工例。細かい木目と白い木肌がリビングに高級感を与える。ヨーロピアンビーチは、ドアや階段の突き板にも使われているのでコーディネートすることも可能だ(写真提供:永大産業)
写真2(右):木曽ヒノキの施工例。針葉樹ならではの適度な柔らかさと硬さをもち、日本になじみ深い素材感で洋室・和室ともに合わせやすい(写真提供:加藤木材産業)
また、丸太のどの部分を使っているかもポイントである。柾目・板目・追柾目の3パターンがあるが、狂いにくいのは柾目である。板目は乾燥すると木表側に凹状に反りやすく、幅方向の伸縮も柾目より大きい。しかし板目でも、適切な含水率管理や熱処理を行っていれば十分反りを抑えることはできる。
2|含水率
一般的なムクフローリングの含水率が10~12%程度であるのに対し、床暖房用は5%前後まで下げる。
このため乾燥工程は一般のムクフローリングよりも長い。この工程で、いかに素材感を損なわずに乾燥するか、メーカーの技術が問われる点である。
3|寸法
床暖房対応ムクフローリングの寸法は、幅65~75 ㎜・厚さ15 ㎜が標準といえる。しかし、素材感をより楽しめる幅広のニーズも少なくないため、80 ㎜以上の幅広サイズをラインナップしているメーカーもある。
また、複合フローリングと同様の12㎜厚を実現した製品も出てきている。ムク材は比熱が高いため、複合フローリングと比べて温まるのに少し時間がかかる。薄くすることで、温まるまでの時間が短縮され、かつ熱貫通率も上がるため、エネルギーの消費量を抑えることもできる。
現在、床暖房に対応するムクフローリングには明確な品質基準がない。ガス会社がガス式温水床暖房に対して、ほかの床材同様の条件でムクフローリングの性能試験を行っているので、目安の1つにするとよいだろう[表]。





