

自然素材=健康住宅ではない
室内環境汚染による健康被害、いわゆるシックハウス症候群[図1]が社会的な関心を集めたのは、1990年代後半のことである。安らぎの場所であるはずの住宅が、住まい手の健康に被害を及ぼしては意味がない。そこで、2003年に施行された改正建築基準法によりシックハウス対策が義務付けられた。その後、事態は沈静化したように見えるが、自然素材や健康志向をうたった建材は現在も多く出回り、健康に住まえる住宅への関心はいまだに高いことをうかがわせる。
それでは、健康な住まいとはどのようなものなのか。「健康住宅」の研究を行っているNPO法人日本健康住宅協会(以下、KJK)の安藤研治常務理事は、「化学物質への対策を施しただけでは健康住宅とは言えない」と警鐘を鳴らす。KJKの定義する健康住宅のイメージは図2のとおりだ。建築・設備のハード面と、住まい方・メンテナンスのソフト面がカバーされてこそ健康住宅といえるのだという。

住宅の「臭い」と「換気」が問題
KJKでは、'98年から健康住宅に関する相談窓口を設けている。相談内容はシックハウスや化学物質に関するものが上位を占めるが、年別の推移を見ると、それらの相談件数は年々減少傾向にあることが分かる[図3]。
一方、増加傾向にあるのが臭いや換気に関する相談である。特に臭いに関する相談の増加は著しい。
'04年までは15%程度だった相談件数が、'05年には40%まで増加している。具体的には、カビ臭や腐敗臭、ペット臭などについての相談が多いという。住宅業界では今後、臭いに対する対策も重要な課題となってくるだろう[写真1・2]。


写真1 ・2:健康建材内装タイル「エコカラット」シリーズ(INAX)。調湿効果やVOC 吸着性能に優れ、アンモニアなどの吸着効果もあるため、シックハウス対策だけでなく臭い対策にも有効(写真提供:INAX)
設計者に求められること
住宅での健康被害予防策として、設計者側で配慮すべきポイントを安藤氏に挙げてもらった。
1|住宅設備・建材選び
2|プランニング
健康的な住まいを設計・提案するためには「住宅の立地環境」を把握することが重要。その土地の周辺環境や気候風土などをきちんと把握することで、空気や光など自然環境をより効果的に採り入れた住まいづくりができる。また、プランニング時には具体的に次のような点にも注意する。
3|住まい手へのアドバイス
健康被害を出さないためには、住まい手にもある程度の知識が必要だ。設計者は住まい手に対し、住宅のメンテナンス方法や住まい方についてのアドバイスなども行うように心がける必要がある。住まい手の知識について安藤氏は、「特に給気と換気、結露対策について誤った知識をもつ住まい手は多い。KJKでも『住育の日』を定めるなどの活動を行い、住まい方についての正しい知識を広く浸透させていきたい」と語った。




