
中でも、「受注者効果的事例セミナー」では、ユビキタス・テクノロジーや3次元CADデータの活用法など業務の高効率化/高度化を実現したICT活用事例が紹介された。

●「ICタグによるコンクリートのトレーサビリティ-安心/安全/高効率化を実現する構造物などへの実装の取り組み-」( 住友大阪セメント・君島健之氏)
君
島氏は、ICタグを取り付けることでコンクリートのトレーサビリティ(追跡調査)が効果的に行えるユビキタス・ネットワーキング技術「電脳コンクリート」
を紹介した。コンクリートの型枠マーキングから施工現場への搬入までを追跡する際、安全管理やコンクリートに対するニーズが多様化したことによる多品種化
への対応などが課題となっていた。ユビキタス・ネットワーキング技術を用いると、REIDチップをコンクリートに設置し、品質/施工/設計/構造など1つ
ひとつの情報を固有のID「ucode」で紐付けることで、一元管理が可能になる。同時に、建築物にICタグを取り付けられるICコンクリートパネルの実
用化されると、建築物を構成するコンクリート部品に設計者/施工者/図面情報/部材情報などを付与でき、情報の一括管理が可能となる。
●「トンネル現場における施工品質管理の可視化-3次元レーザースキャナの活用事例報告-」(三井住友建設・塩崎正人氏)
塩崎氏
は、3次元レーザースキャナを用いた福井県・鳩原トンネルの覆工設計厚判定システムを紹介した。3次元レーザースキャナは回転しながら広範囲の3次元座標
を短時間に取得できる計測機器で、一個所の計測で立体的な形状を容易に把握できる。機器から測定対象物へレーザーが届く時間を測定することで距離を計測す
る仕組みで、土木分野では土量計測/石垣城壁計測/街路樹形状計測などに利用されており、複雑な形状の対象物でも計測が可能だ。トンネルの覆工設計厚で
は、10~20mごとに厚さ(すき間)を計測する手法が取られ、トンネル内の一個所に3次元レーザースキャナを設置し、トンネルの壁に沿ってスキャニング
する。出力された計測データと設計データを重ね合わせることで、完成形状との差分から正確な巻き厚を算定できる。形状を把握することで、コンクリート量の
過不足を低減できることもメリットの1つだ。
また、レーザースキャナで計測したデータをメッシュ化することで判定結果の可視化を実現した、同社開発のソフトウェアを紹介。厚みの過不足を確認で きる「コンター図」のほか、任意位置での設計厚をDXF形式などさまざまな形式で表示/出力できる断面図、11個の断面個所の設計厚一覧表をExcel フォーマットで出力できる一覧表の作成が可能となっている。
●「3次元情報を有効利用した無人情報化施工システム」(熊谷組・北原成郎氏 )
北原氏は、無人化施工と情報化施工を組み合わせ、
品質/出来高を向上させる高度な施工管理を行うシステムを紹介した。無人化施工とは、人間が立ち入れない危険な作業現場において、遠隔操作が可能な建設機
械を使用して作業を行うこと。無人化施工では、人間が直接、現場で計測や施工指示ができないため、施工を遠隔指示するための数値や設計図を利用した情報化
施工が必要となる。北原氏は、設計/測量/指示/管理などすべての施工過程において3次元データを活用した情報化施工が可能であるとし、3次元モデルデー
タの作成と利用について解説した。無人情報化施工システムのデータ作成は、構成するすべてのシステムで共通の3次元モデルデータを利用する。基本データの
作成や記録管理には汎用CADを使用し、掘削機などのマシンコントロールシステムとのデータ交換には、汎用CADで対応可能な3D-
TIN/LandXML/DTMデータを使用するとしている。掘削機を遠隔操作する際に使用する3次元モデルデータについては、測量データから作成した現
況地形の3次元サーフェスモデルに設計ラインなどを加え、設計データの3次元モデルを汎用3次元CADで作成。3次元CADデータを3D-
TIN/LandXML/DTM形式でエクスポートし、3次元マシンコントロールデータとして車載システムに2次元の断面図として表示される。このシステ
ムを採用することで、施工効率、施工精度の向上が図られる。
(写真は熊谷組・北原成郎氏)

