
6月25日から27日の3日間、東京・有明の東京ビッグサイトで、「第19回設計・製造ソリューション展」(主催:リード エグジビション ジャパン)が開催された。今回、ラピッドプロトタイピングや3次元プリンタと並び、注目を集めていたのは「CAE」(解析)ゾーンだ。

汎用構造解析ソフト「ANSYS」や熱流体解析ソフト「FLUENT」などの開発/販売/サポートを手がけるアンシス・ジャパンは、展示ブースの一角に、先の北京五輪競泳日本代表選手の水着問題で話題をさらったSPEEDO社のフルボディスイムスーツ「LZR RACER」(レーザー・レーサー)を展示していた。このレーザー・レーサー最大のポイントは、生地表面に超低抵抗のポリウレタン素材「LZR panel」を貼り、身体を締め付けることで筋肉や皮膚の振動を抑えるということ。締め付けの強さを説明する際、「1人では着用できない」「人の手を借りても着用するのに20分かかる」というような話も飛び出すが、つまり、その締め付けにより、水の抵抗が少ない姿勢を保ち続けられるというわけだ。
このレーザー・レーサー独特の「締め付け」の研究/開発には、FLUENTの数値流体力学解析機能が深くかかわっていたという。研究の中心になったのは、飛び込みやターンの直後にとる、腕を前に、脚を後ろに伸ばした「グライド姿勢」をとったときの受動抵抗の調査だ。この競泳で決定的に重要な姿勢において、どのような摩擦抵抗と形状抵抗が生じるかを、開発元の米ANSYS社が中心となり、FLUENTで局所的な速度勾配とそれにより生じるせん断応力を解析。さらに、可能な限り滑らかで障害が少ない「流れ経路」を明らかにしたという。こうした研究で得られた流体力学データを基に、レーザー・レーサーの最終デザイン、超低抵抗素材LZR panelを貼る位置が決定した。これらの研究/開発の成果は、昨今、各種メディアで報道されているとおりだ。
こうした熱流体力学解析技術は、近年、建築業界でも注目されつつある。オフィス街で火事やビルの崩落などの災害が発生した場合、ビルの間を流れる風により、被害はどのように広がるかといった解析はその一例だ。、粒子レベルでの解析が可能な「EDEM」は、ショベルカーはどのように土をすくうか、下水道管内に堆積物が増えると下水が流れる速度はどう変わるかといった解析に利用されているという。
(CAD&CGマガジン ● 高橋寛行)
■開発元
アンシス・ジャパン
■URL
http://ansys.jp/