
米PTC社は、2008年6月1日から4日(米国時間)までの4日間、米カリフォルニア州・ロングビーチにて、メディア向けイベント「Annual Global Media and Analyst Day」(6/1~3)、およびPTC製品のユーザーイベント「PTC/USER World Event 2008」を開催している。
両イベントは、同社の新製品や、技術、デモンストレーションなどが披露されるとともに、製品開発者とユーザーや記者が意見を交わす場が設けられている。メディアイベントには、欧米をはじめ、中国、台湾、韓国、日本などから記者とアナリスト約70名が集まり、PTC製品とその活用事例はもちろんのこと、各国の製造業についての情報交換が行われた。
Long Beach Convention Centerで 行われたユーザーイベントは、同社取締役のJim Heppelmann氏による「PTC Technology Vision」と題した講演で幕を開けた。講演の中で同氏は、「現在の製品開発における世界共通の課題は『グローバル開発』『リーン生産』『ITシステムの統合』である」とした上で、PTCとしてはこれらの課題を解決するために、同社の数ある製品の中心に存在するPLM製品「Windchill」をより強化していく方針を示した。また、Heppelmann氏によって、2つの新製品が発表された。
●マイクロソフト製品の新拡張ツール「Windchill ProductPoint」
ひとつは、製品開発情報の整理、および共有を行うソリューション「Windchill ProductPoint」で、同社がかねてより注力している中小企業向けの製品だ。これは、多くの企業で導入されているマイクロソフトのオフィス向けサーバ「Microsoft Office SharePoint Server」(以下、SharePoint)をベースとした製品で、SharePointに同製品を組み込むと、オフィス文書だけでなく、同社の3次元CAD「Pro/ENGINEER」や他社のCADで作成されたモデル、構成要素、属性情報などの表示/閲覧が可能となる。CADデータの閲覧時には、同社のビューワ「ProductView」の技術により、拡大/回転だけでなく、寸法や注釈を表示でき、複雑に組み合わさっているモデルのパーツを展開させることも可能だ。インターフェイスは、フォルダ表示や、Webサイトのようにリンクでデータを表示させるスタイルなど、ユーザーの好みによって変更できる。データの閲覧を基本とした製品だが、「Windchill PLM Connector」を利用すればユーザー同士のデータを共有させることが可能で、モデルの変更などを反映させられる。
使い方は、同製品を単体で利用する方法と、同社のPLM製品「Windchill PDMLink」と連携させて使用する方法の2通り。前者は、これまでPTC製品やPLM製品を利用したことがない中小企業が主な対象となり、後者は、主にWindchillファミリを導入している大企業に適している。発売は2008年12月を予定(日本での発売日は未定)しており、動作環境などの詳細はまだ発表されていない。

【Windchill ProductPointのインターフェイス】
●6GBの大規模データをスムーズに回転/拡大できるビューワ「ProductView9.1」
もうひとつの新製品は、同社ビューワの最新バージョン「ProductView 9.1」。同製品は、設計検討や、現場での寸法検討、デザインレビューなどに利用できる。CADデータの表示だけでなく、仕様書などの技術文書の表示が可能で、モデルの展開、ムービー、バーチャルリアリティなどの高度な機能も併せ持つ。Pro/ENGINEERなどで作成したCADデータを同製品に読み込むと、自動で圧縮され、同製品特有のデータ形式「PVS」に変換される。
Pro/ENGINEERから同形式に書き出すことも可能だ。PVSファイルはMicrosoft PowerPointに取り込むことが可能で、プレゼン資料の作成にも利用できる。最新バージョンでは、このPVS形式の圧縮率が大幅に向上し、従来は2GBのファイルは100MB程度に圧縮されていたのに対し、50MBまで圧縮できるようになった。読み込めるデータ容量も2GBから6GBまで向上。IGES、STEP、JTなどのデータ形式も読み込める。また、Microsoft Office 2007ライクなインターフェイスが採用され、初心者も使いやすい。
これまで、Windchillに組み込まれるLiteと、スダンドアロンで使用できるStandardの2ラインが用意されていたが、9.1から異なるアーキテクチャが採用されており、パフォーマンスが大幅に向上していることから、StandardからProfessionalに名前が変更された。なお、Liteは前バージョンからアーキテクチャが変更されていたため、今日のバージョンアップでは大きな変更点はない。リリース予定は9月だが、日本での発売日は未定となっている。価格も現在は未定だが、他社製品などと比較しても高機能であることから、高価格になるだろうと予想される。近い将来、機能を絞った低価格のLiteをスタンドアロンで提供することも考えているという。
新製品の発表の後に開催された、PTC製品や協力会社の製品の展示会「PTC/User World Event Reception」では、ProductView9.1のブースも出展されており、PTCのVisualization Product Managementのバイスプレジデントを務めるMichael Rygol氏がデモンストレーションを行った。Michael Rygol氏に、「PVS形式の 無償ビューワを公開する予定はないか」とたずねたところ、「9.1のマイナーバージョンアップで対応し、『ProductView Xpress』という名前で、2008年12月か2009年1月頃に発表する予定だ」と答えた。日本語版の対応は未発表だが、無償版が公開されれば、PVS形式が広く閲覧できるようになり、設計検討や確認などが行いやすくなるはずだ。
【Product Reviewのデモを行うMichael Rygol氏】
(CAD&CGマガジン●高橋顕子)

