『白の真実――警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ』

shirono.jpg日本を世界一の覚醒剤消費国にしているのは警察組織だ!
 2002年に覚醒剤取締法違反と銃刀法違反の罪で逮捕された北海道警察の稲葉警部(当時)。銃器対策課のエースと呼ばれていた元警部の逮捕劇は、道警にとどまらず日本の警察組織を震撼させた。というのもこの事件は、拳銃の押収実績が他の捜査実績よりも評価され、拳銃さえ挙げれば潤沢な捜査費が配分されるという、警察組織の腐敗と堕落を象徴するものだったからだ。その結果、拳銃のヤラセ押収のために覚醒剤の密売・密輸入が目こぼしされ、末期にはその元警部は覚醒剤の使用・所持だけに止まらず、自らが覚醒剤を暴力団関係者に密売するに至り、ロシアマフィアの非合法ビジネスまでがその恩恵に与った。ロシアマフィアは北海道を食い物にして肥え太り、日本の暴力団が出先機関のように利用される......。警察はその実態を把握しながらも、警察権を行使しようとしなかった。

その犯罪の構図はあまりにも大きく、『北海道警察の冷たい夏』(2003年)を上梓した後も著者は取材を続行、元警部の公判で浮上した覚醒剤の大量密輸入疑惑と、元警部の「捜査協力者」たちや暴力団員たちが築き上げた覚醒剤ネットワークの実態を解明しようと試みる。幾多の妨害、身の危険にさらされながらも著者が行き着いたのは、日本を世界最大の覚醒剤消費国に陥れている、北朝鮮という逼迫した国家による犯罪であり、それに見て見ぬふりをしている執行機関の姿だった。警察の不正、中国・ロシアマフィアと暴力団の関係、そして北朝鮮の国家的犯罪......4年の歳月を費やし、覚醒剤をめぐる国際的な闇の構造の全貌を初めて明かす、渾身のノンフィクション!
<目次>
プロローグ
第一章 法廷からのメッセージ
 I. 堕落の底へ
 II. 爆弾証言
 III. 仕事道具
 IV. 尻尾切り
 V. 夕張へ
第二章 不作為の連鎖
 I. 東北幇
 II. ハイエナ
 III. 不法就労の温床
 IV. 疑念
 V. 道警の秘密
 VI. シャブよりチャカ
第三章 逃がされている者たち
 I. 一二九キロの真相
 II. 供述調書
 III. 通夜
 IV. MDMA
 V. レイヤー・ケーキ
第四章 柔らかいものと硬いもの
 I. 遭遇
 II. 不合理な合理主義
 III. マカロフ
 IV. 殺しの季節
 V. 三つの条件
 VI. 土の下の"金属"
 VII. 覚醒剤の入り口
第五章 瀬取り
 I. 最北端へ
 II. 不吉な予感
 III. 新月の夜に
 IV. 吸い殻のオブジェ
 V. 水深
第六章 「白粉の川」の渓相
 I. 密漁の海で
 II. 張り込み
 III. 陸揚げ
 IV. 巨悪と小悪
 V. 受け渡し
 VI. 摘発された西日本ルート
 VII. 逮捕の果て
エピローグ
あとがき
参考文献
<著者紹介>
曽我部 司(そがべ つかさ)
 1958年札幌市生まれ。ノンフィクション作家。94,95年に旧ユーゴスラビアの民族紛争を取材。95年よりプラハと札幌で活動し、2000年『ホッケー69――チェコと政治とスポーツと』(TBSブリタニカ)で第9回開高健賞奨励賞を受賞。2003年に『北海道警察の冷たい夏』(講談社文庫)で「稲葉事件」から浮かび上がった警察の闇に迫り話題に。近著に『メディアの権力性――ジャーナリズムの条件3』(共著、岩波書店)、『笑う沖縄――「唄の島」の恩人・小那覇舞天伝』(エクスナレッジ)がある。
<書誌情報>
タイトル:白の真実――警察腐敗と覚醒剤汚染の源流へ
著者:曽我部司
定価:本体1600円+税
版型:四六判
ページ数:356
発行年月:2007.02
ISBN978-4-7678-0612-9

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