科学がつきとめた疑似科学

定価 1,800円+税
著者名 山本 輝太郎、石川 幹人
ページ数 188
判型 A5判
発行年月 2024/02
ISBN 9784767832456

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科学がつきとめた疑似科学

内容・概要

何が「科学的」かが図解でわかる、現代を賢く生き延びるための「科学リテラシー」の教科書!

「エビデンスの有無」だけでは不十分! 「専門家の意見」が一番信用できない!?
ホメオパシー、デトックス、ブルーライトカット、水素水、電磁波有害説、牛乳有害説、シリカ水、メンタリズム、血液型性格診断、磁気治療器、EPA、DHA、O-リングテスト、血液クレンジング、漢方、マイナスイオン、GABA、などなどなど…日常にあふれる「これって効くの?」「あれって本当に効果あるの?」といった物事を、「理論」「データ」「理論とデータ」「社会」の4つの観点で判定します。

「トクホと機能性表示食品の違いって?」「確証バイアスって何?」「信頼できるメタ分析とは?」「プラセボ効果って本当?」などの疑問もしっかり解説。「学会」や「専門家」などの過度な権威付けに騙されず、科学的な成果を享受しつつ、疑似科学を見抜くスキルを身につける、何も信じられないこの時代をサバイブするための必読書!


第1章 科学とは何か?
科学=理系ではない ―仮説と検証のサイクルとは?―
意外と身近な科学的思考スキル ―農業は統計学で考える―
科学と疑似科学は分けられない? ―髪の毛は何本からハゲなのか?―
言い切れないほうが科学的 ―科学はボトムアップで進歩した―
正しさ「らしさ」を考えよう ―「事実」にもいろいろある―

第2章 疑似科学の「理論」の見抜き方
矛盾だらけの幽霊「理論」 ―壁を通り抜けるのに壁を叩ける―
ホメオパシーは効くの? ―有効成分は「1那由多分の1」!!―
放射線で健康? ラジウム温泉の謎 ―温泉はさまざまな効果あり―
デトックス排出!って何を? ―どこから、どうやって出すのか曖昧―
ブルーライトの説を徹底検証! ―意味のないブルーライトカット―

第3章 疑似科学の「データ」の見抜き方
図書館をつくると犯罪が増える? ―疑似相関に注意しよう―
専門家の意見が一番信用できない! ―データの信用度ピラミッド―
あなたも騙される「確証バイアス」 ―「誰が言ったか」で信頼度が変わる―
事例が報告されるのは珍しいから ―事例データの「一般化」には要注意!―
サンプル数は多いだけでは意味がない ―過去を振り返る「症例対照研究」―
ランダム化比較試験がなぜ重要か ―事前-事後の比較では不十分―
「古今東西の分析」を分析する ―「メタ分析」でデータを正確に!―
携帯電話の電磁波でがんになる? ―電磁波有害説の主張―
「牛乳有害説」の問題点 ―エビデンスは「有無」よりも「強弱」だ!―

第4章 「理論とデータの関係性」と疑似科学
犬が鳴いたから地震が起きた? ―後付け説明なら何とでも言える―
「波動測定器」は何を測っている? ―科学には「立証責任」がともなう―
霊感商法や性格診断が当たるわけ ―信じてしまう仕組みがある―
肩こりは磁石にお任せ? ―巷にあふれる磁気治療器の真実―
「水素水」の是非やいかに ―一大ブームを巻き起こした「水」の真相―
EPAで血液サラサラってほんと? ―観察からわかった科学進歩の好例―
「O-リングテスト」を検証する ―指の力によって善悪までも判定する?―

第5章 現代「社会」と疑似科学
実は歴史が深い血液クレンジング ―科学と社会の複雑な関係―
「学会」はサークルだ! ―過度な権威付けには要注意―
論文は誰でも出せる? ―査読制度と「良い論文」「悪い論文」の見極め方―
「これまでの常識を覆す!」は疑え ―科学は議論の歴史が尊重される―
漢方が科学になるまで ―技術は科学の萌芽?―
教育現場に潜む疑似科学 ―PISA型リテラシーを推進せよ―
マイナスイオンの真実 ―自然でリラックスできる原因なの?―
イチョウ葉エキスのあいまいな効果 ―「記憶力が良くなる」とは何か―
GABAと機能性表示食品 ―巷にあふれるGABAの効果とは―

第6章 疑似科学を見極める人間の視点
広告表示のトリックに騙されるな —それって「個人の感想」ですよね―
風評被害にあった「味の素」の悲劇 ―自然志向の功罪―
「遺伝子組換え」などの先入観に注意! ―「たとえ」のイメージに引っ張られるな!―
科学コミュニケーションの難しさ ―文字ベースではちょっと限界?―
疑似科学にハマらないためには? ―よりよい思考の方法を知る―

■著者
山本 輝太郎(やまもと・きたろう)
金沢星稜大学総合情報センター 講師
明治大学科学リテラシー研究所 客員研究員
1988年岐阜県生まれ。明治大学情報コミュニケーション研究科博士後期課程修了。博士(情報コミュニケーション学)。専門は科学リテラシーで、メタ分析やクラウドソーシングなどの実証研究に強みをもつ。日本科学教育学会奨励賞、乳の学術連合最優秀賞をはじめ、科学リテラシーに関する研究業績において多数の受賞歴がある。疑似科学に関するプラットフォームサイトGijika.comの責任者でもある。2022年4月より現職。

石川 幹人(いしかわ・まさと)
明治大学情報コミュニケーション学部 教授
1959年東京都生まれ。東京工業大学理学部応用物理学科(生物物理学)卒。同大学院物理情報工学専攻、企業の研究所や政府系シンクタンクをへて、1997年に明治大学に赴任。人工知能技術を遺伝子情報処理に応用する研究で博士(工学)を取得。専門は認知科学で、生物学と脳科学と心理学の学際領域研究を長年手がけている。主な著書に、『心と認知の情報学~ロボットをつくる・人間を知る』(勁草書房)、『人はなぜだまされるのか~進化心理学が解き明かす「心」の不思議』(講談社ブルーバックス)、『その悩み「9割が勘違い」~科学的に不安は消せる』(KADOKAWA)、『だからフェイクにだまされる~進化心理学から読み解く』(ちくま新書)、『職場のざんねんな人図鑑』(技術評論社)、『なぜ、穴を見つけるとのぞきたくなるの?』(朝日新聞出版)などがある。